「ストックとなり得る建築」を目指して

私達を取りまく生活環境は目まぐるしく変化しています。また情報やメディア中心の社会の中で「関係性」のみが重要視され、全ての価値が相対化されてゆく傾向にあるといえます。ともするとそのような中で「建築」も消費的に扱われてきたところもあるのではないでしょうか。私達はここで一度立ち止まり、原点に戻って「建築」の本来持っていた「力」について考えてみたいと思っています。

もともと「建築」の世界では「人」と「もの」、「人々」と「空間」の間に対話があり、お互いに刺激し合いながら文化を形成する関係にあったのではないでしょうか。そして建てられた「もの」は様々な用途に供しながら何百年に渡って「社会的ストック」と成り得たのでしょう。これからの建築家はなお一層そうした見方をしてゆかないと限られた資源や環境の問題に対処できないのではないでしょうか。

私達の基本的スタンスは常にそうした視点に立って、小さな造形デザインから、「まちづくり」、アーバンデザインに至るまで一貫したポリシーを持って活動してゆきたいということです。その為には素材の持つ美しさ、ディテールの感覚、空間の持つ本来的な力、界隈の持つにぎやかさ、そうした一見平凡に思えることを一つ一つ大事にしてゆかなければなりません。そうした努力を通したデザイン行為によって初めて建てられた「建築」は時代に耐え、社会的なストックとなることが出来るのではないでしょうか。

具体的には明治大学における研究、調査などの実験室的スタンスと、プロフェッショナル集団としてのアルキメディア設計研究所の相互補完的(Interactive)な関係の中から、新しいアイデアとデザインを更に生み出してゆきたいと思っています。常にチャレンジ精神を忘れずに。

アルキメディア設計研究所主宰
明治大学教授(工学博士)

小 林 正 美