都市の顔として建築高層部の外観はあくまで控えめに町並み全体のスカイラインを整えることを目論み、人の目線の集まる低層部には対照的に賑わいのあるアーバンプラザを計画した。
高層部についてはともすると西洋的素材である意思や金属パネルが氾濫する東京の景観において「漆」に代表される日本的「美」としての「塗り」を都市のコンテクストに表現することが出来ないかというテーマが追求された。カーボンファイバーによるCFRC版の大型のパネルを採用し、ステンレス型枠の表面を徹底的に研磨することでスムーズな表面を確保しつつ、フッ素樹脂を何層にも塗装する事で「漆」的な「まったり感」を表現するように努めている。
低層部については、今まで「通過」しかなかった大門地区にちょっとよりたくなるような「都会の精神的アルコーブ」が出現したことで、その後、人の流れは大きく変わったと言われている。毎日夕方になると多くの人がプラザに集まり、次々に中に吸い込まれて行く。いわば、「大門のブラックボックス」として有名な建物になってしまった。 |