関門海峡を見下ろす高台にあるスポーツセンターの一部に敷地が与えられた。用途は、1Fをオーナーの御母堂の住まいとし、2Fをスポーツセンターで働く海外研修生のための寄宿舎とするものであった。
敷地の条件として特筆すべき点はスポーツセンターのプール棟とオーナーの住居との間で、両建物間の調整的な役割をしなければならないという事であった。計画時に考慮されたポイントは、まず敷地の中心となるプラザの性格を損なうことなく建物を配置し逆にプラザの性格を強めること。また、上下に住まう人々の間の交流を育むために、眺望が良く気持ちの良いサロン(食堂)を準備することであった。
意匠的なポイントとしては全体を緩やかなアール状に計画することで周辺環境に配慮したこと。シンボリックな階段をエントランスに配置し、上下への自然な振り分けを促したこと。そして、2Fからも感じられる吹き抜けのあるサロンを軸に廊下を配置しそれぞれの生活領域への空間的・意識的切り替えを明確にした点である。