この福祉施設は身寄りのない子ども達に豊かな生活を供与するために、由緒ある組織により運営されている。建築主から希望された主要な条件は、施設のイメージを極力払拭し、誰でも優しく受け容れる「家」をイメージすることであった。駒沢という、都心では貴重な広大な敷地を最大限に利用し、集落のようなコミュニティー空間を作り出すことに専念し、3棟のグループホームによる街並みと管理棟の関係、各棟の間に生まれるオープンスペースのしつらえの最大の注意を払ってデザイン作業を行った。全体的には、質の高い「街」が創造できたと思っている。毎年恒例のクリスマス会で生徒達の心温まるページェントに接すると、自分の心が洗われ、このプロジェクトに関われたことを心から感謝したい気持ちになる。